○【3.袖すり合うも多生の縁】
【玉麗】「うわー、そいつはまずいことになりましたねえ」
【ユメ】「うう……た、退学……退学はいやだあああ……」
【シャルロッテ】「日ごろの努力を怠った結果。自業自得ですわ……と言いたいところですが。今回ばかりはご同情申し上げます」
【アキト】「……いや、玉麗、シャルロッテ。優しすぎるぜ、その反応。同情の余地なんかねえ。こいつは救いようのない大馬鹿だ」
教室に戻り、呼び出しの結果報告を行った。
予想はしてたけれど、みんなのつっこみが激しい。
なにかと私につっかかってくるシャルロッテは当然のこととして、ルームメイトであり、いつも私の味方であるはずの玉麗も、難しい顔をして腕組みをしている。
とりわけ、特に我が弟、アキトの言葉は手厳しい。
家族なんだから、少しくらい優しくしてくれたちていいのに。
バカなのは自分でも解っているし、賢くなるよう、努力はしているんだから。うう。
けれど、アキトが起こるのは無理もない。
この試験を受ける前、私はアキトに勉強を教わった。
アキトにしてみれば、自分の時間を削ってまで面倒をみたのに、こんな結果になってしまうなんて、という思いがあるのだろう。
……悪いとは、思っているんだ。本当に。
【ユーリ】「こらこら、怒りすぎ。どうどう。ユメちゃんも反省しているから、そのへんで、ね」
だけど、そうして落ち込む私の前に、神々しいまでの助け船が現れる。
いわずとしれた、アカデミーの王子様。ユーリ。
家柄も才能もある上、性格もいいっていう、完璧な人。
でも、シャルロッテの婚約者だから……あんまり仲良くしたらいけないんだけど。
こうしていつも私のことを助けてくれるから、つい甘えてしまうんだ。
【アキト】「反省したって、過去は変えられねえんだぞ、ユーリ」
【ユーリ】「怒ったって、現在を変えたりはできないよ、アキト」
【アキト】「ぐ、ぐぐ! 解ってるよ! だけどどうしても! 腹が立つんだ」
【ユーリ】「ま、気持ちは解らなくもないんだけどさ」
ユーリが調停ついでに、私の答案をぺろりとめくった。
……隠してはいるけど、「あちゃあ」と思っていることは伝わってくる。
穴があったら入りたい。
(だって、怒られて、あきれられて、当然なんだもの)
みんな、がっかりしている。
どうして、私はここまでドジなんだろうって。
【ユーリ】「……何が悲しいって、回答欄がずれていなければ、案外できてるところなんだよね……」
【玉麗】「本当だったら、ちゃんと平均点に達していたんですけどね。まあその、アキト君。点数には現れなかったですけど、アキト君とユメさんの努力は、けして無駄ではなかったと思って……」
【アキト】「過程なんかどーだっていい! 大事なのは結果だ!」
激高したアキトが、教室のテーブルを大きく叩く。
私たちを遠巻きに眺めている、ほかの人たちのびっくりした声が聞こえてきた。
いつもなら「お行儀が悪いよ」と窘めるところだけど、今においてはとても言えない。
【アキト】「ユメ。追試の合格条件をもう一度言ってみろ」
【ユメ】「……です」
【アキト】「ちゃんと口開けてしゃべれ!」
口の中でもごもご喋ったら、さらに大きな動作で机を叩かれた。
全身の毛が逆立ってしまいそうだ。
【ユメ】「ひあ! ……満点、以外は不合格です!」
……私の叫びが、教室中に響く。
そのすぐあとに漏れた、ユーリたちのため息も。アキトのうなり声も。
【玉麗】「いやあ、さすがゲルハルト先生と言おうか……」
【シャルロッテ】「鬼、悪魔、冷血漢、人でなし、ミスターブリザード……物騒な冠や、二つ名がつくだけのことはありますわよね」
【ユーリ】「よっぽど、ケアレスミスが許せなかったんだろうなあ。……あれで先生、ユメちゃんを気に入ってるから。そうでなきゃ、追試なんて面倒なもの、やらないと思うしね」
【ユメ】「ええ、全然そうは感じなかったよ! むしろ、積極的に退学を勧められた気分だったよ!」
【ユーリ】「まあ、人それぞれ、好意の表し方は違うってことだよ」
それぞれ、勝手な感想を言う。
だけど、もう私にはそれに言い返す気力がない。
椅子に座って諾々と、みんなのやりとりを眺めるだけだ。
【玉麗】「しかし、満点以外は不合格、というハードルはずいぶん鬼畜だと思うんですけど」
【シャルロッテ】「普通は受からせる気がないとしか、取れませんわよね」
【アキト】「どう考えても、そうだろ! ったく、ゲルハルトのやろう。ほんと融通がきかねえ……って、なんだよ、ユーリ、にやにやして」
【ユーリ】「え? いや、ほほえましいなと思ってるだけだよ。入学式の時の騒動を思い出しちゃってさ」
【ユーリ】「ユメちゃんにここにいるべき人間じゃないとか、アマツに帰れとか、言ってた人たちの会話じゃないなあと思って」
【アキト・シャルロッテ】「うっ……」
アキトとシャルロッテが口をそろえて、見合わせて、赤くなった。トマトみたい。
【シャルロッテ】「わ、私は今でも思ってますわよ! ユメさんのように、運だけでシルバースターアカデミーに入るなんて、落ちた人たちに対して、やっぱり申し訳ないと思いますもの!」
【アキト】「俺だって、そうだ! そもそもこいつが魔法使いなんて、向いてないんだから、今からでもアマツに戻った方が、世の中のためだ!」
【玉麗】「……ほんと、ユメさんの周りは、好意の表し方が下手くそな人が多いですねえ」
玉麗がちゃっちゃと手を扇のようにかざしながら、そんな合いの手を入れた。
……私はといえば、ただ椅子に座ってもじもじしているだけ。
だって、アキトもシャルロッテも、表面上は私に文句を言っているんだもんね。
……実際はそうじゃないって、解ってるけど。
【ユーリ】「まあ、でも。いくらゲルハルト先生がユメちゃんを買っているとはいえ、さすがに満点はね。かなりハードルの高い条件だ。相当頑張らないと、追いつかないと思うけど……さて、どう勉強するのが効率がいいかな。悩むね」
【ユメ】「え、ユーリは私が満点取れると思ってるの?」
【ユーリ】「思っていたら、重たい?」
【ユメ】「……ユーリ」
みんな、心配してくれている。
私は、入学の経緯からして、落ちこぼれだから。
いつ、この教室から出ていけって言われても、おかしくない立場だから。
……そんな、『期待』を寄せてもらうなんてこと、思いもかけなかったから。
【ユーリ】「だって、ここ最近のユメちゃんがんばり、すごいもんね。それに、入学試験の時だって、ユメちゃんは奇跡を起こしたじゃない。今回だって、可能性がないとは思わないな」
【ユーリ】「僕は、みんなと違って、できるって信じてるよ」
【アキト】「ぐっ……」
【シャルロッテ】「むむっ……!」
……しかし、やっぱりユーリはユーリだ。
励ましに素直に感動したいのに、こうして話を混ぜっ返す。
性格の『いい』はこういうところにもかかってる。
【玉麗】「あら……? ユーリくん。私今までてっきり、ユメさんの勉強にこのツンデレ二人をつきあわせる口実作りをしているんだと思ってたんですけど……」
【ユーリ】「へえ、そうだったんだ」
【玉麗】「ひい! 違うんですか。はめられた!」
【ユーリ】「勉強会なんて、一人いれば十分じゃない? 大丈夫、責任もって、僕がユメちゃんを合格させるから。みんなは麓で遊んでくれば。じゃあ、ユメちゃん。行こうか」
ユーリが私の肩に手をおいて、起立を促す。
ほのかなコロンの香りがして、訳もなくドキドキしてしまう。
ほんとこの人、心臓に悪い。
シャルロッテが目の前にいるっていうのに。
【ユメ】「へっ、どこへ」
【ユーリ】「勉強会といえば、図書館塔でしょ。二人っきりで頑張ろうね」
二人きり、というところに不必要なアクセントをおいて、ユーリは私の腕を引っ張った。
ついでとばかりに、鞄も抱えられてしまう。
【ユメ】「へっ……あ、えと、ユーリ、鞄、勝手に持っていかないで! 自分で持てるよー」
【ユーリ】「それじゃあそういうことで。また明日」
【ユメ】「ひえー!」
抵抗するだけ無駄だった。
首根っこをひっつかまれ、私はユーリにずるずると引きずられていく。
【玉麗】「ちょっ……わあ、狩人が獲物を回収していくー! アキト君、シャルロッテ! このまま見過ごしていいんですかー!」
【シャルロッテ】「ふんっ、あんな人たち、勝手にやってればいいんですわっ!」
【アキト】「そーだ。つきあってらんねーよ!」
いつもなら、こういうユーリを押しとどめてくれるのは、つきあいの長いシャルロッテか、ルームメイトのアキトなんだけど。
すっかり、ユーリの挑発に乗せられてしまって、今は何の役にも立たなさそうだ。
慌ててくれるのは、ユーリに次ぐ調停能力をもつ、玉麗だけ。
【玉麗】「あああ、ツンデレからデレる機会を奪ってしまえば、ただの人! え、えーい! こうなれば、私が一肌脱ぐしかありませんね!」
さすが、いざという時には頼りになる。
出口近くまで来ていた私たちの前に、玉麗は颯爽と現れ、人差し指をびしっと立てる。
【玉麗】「ちょっと待ったー!」
【ユメ】「玉麗!」
【ユーリ】「……なあに?」
【玉麗】「ひー、その無駄に美しい笑顔、怖すぎます! いや、その、ユーリ君! なにごとも無理矢理というのはよくないことですよ」
【ユーリ】「無理矢理かな?」
氷の笑顔で、そんな台詞を吐かれても。
玉麗だけじゃなく、私もビビる。
【ユメ】「えっ……う、ううん。イヤじゃないけど、その……」
【ユーリ】「じゃあ大丈夫だね。そういうことで、玉麗どいて」
【玉麗】「わー、わー、それは誘導尋問! あと人の話をちゃんと最後まで聞かずに、終わらせるのもダメー!」
玉麗は両手を振り回し、ドナドナの鼻歌がどこからか聞こえてきそうな状態に、待ったをかけてくれる。
ほんとに、いざって時は頼れる友だちだ。
しかし、ユーリは手強い。
【ユーリ】「……じゃあ、聞いてあげるけど。ユメちゃんの勉強に、君って役に立つ?」
……あまりにも的確、かつ致命的な一言が放たれた。
玉麗が胸を抑えて、手近な机に手をついた。
【玉麗】「ぐさっ! ……よよよ。確かに私は、成績が悪いです。むしろ最近でいえば、ユメさんよりギリギリボーダーラインの人間と言えましょう……し、しかし! かかったな、です! 役に立っちゃうんですよ、これが!」
あわれ、善戦むなしく、討ち死に……と予想したところだったのに。
きょとんとしている私たちを尻目に、玉麗はばんと胸を張っている。
続けて、ふところに手を入れて、掲げる何か、四角い物体が一つ。
まじまじと眺めた。
【玉麗】「ふふん、聞いて驚け、見て驚け! じゃーん! これを使えば今日から頭が良くなる、魔法のアイテム!『眠りながら見て覚える! 天才を作る魔法のビデオ』でーす!」
【ユーリ】「……」
【ユメ】「玉麗……」
……過度な期待は禁物。特に玉麗に限っては。
そう、自戒してしまった瞬間だった。
固まる私たちのところへ、つついとアキトとシャルロッテがやってきた。
もう、怒りのオーラはない。
優しく、アキトが玉麗の肩に手をおく。
【アキト】「……もういい、玉麗。お前はよく頑張った」
【シャルロッテ】「変な意地をはった、私たちが悪かったんですわ。だからもうそんなに無理をしないで」
【玉麗】「い、いやあ! 私にデレてどうするんですかっ! し、しかもそんな優しい慈愛の目で! 傷つく! 無視されるより、よほど傷つく!」
玉麗がサブイボを出しながら、両手をあげて叫んだ。
気持ちは解るけど、仕方ないとも思う。
だって、玉麗の言い出したことのほうが、アキトのアキトらしくないふるまいよりずっと、突飛だったからだ。
しかし玉麗は、後生大事にそのビデオテープを握りしめて、熱弁を振るい続ける。
【ユーリ】「いや、だってさ。いくらなんでも、このビデオはないでしょう。雑誌の端によく載ってる、インチキ商法まるだしのアイテムじゃない。なんでこんなの買ったの?」
【玉麗】「買ったんじゃないんです。もらったんです」
【アキト】「はあ?」
【玉麗】「昨日の休み、一人で麓の町におりた時にですねえ、私……ちょいと人助けをしましてね」
【シャルロッテ】「は? あなたが人助け」
【アキト】「よく、今日槍が空から降らなかったな」
【玉麗】「だあ! そういう反応されると思ったから、言わなかったんですよ!」
玉麗以外、全員。同じ感想を持っていた。
本人には悪いと思うけど、やっぱりそぐわない。
玉麗が、何の利害ももない人を助けるだなんて。
【玉麗】「まあ、私だってらしくないとは思いますよ。コンロンの人間である私の立場は、この学校ではビミョーですから」
【玉麗】「できる限り、もめ事のタネには近寄らない。それが私のモットーです。ですが、綺麗な女の人が、集団のチンピラに追われているのを、見過ごすわけにもいかないでしょう?」
まあ、一般論としてはそうだ。
だけど、そうい『一般論』が通じないからこそ、玉麗は玉麗であるのだけれど。
玉麗の弁舌は止まらない。
【玉 麗】「間の悪いことに、あたりには私以外誰もいなくて。ここで見過ごしたら後味が悪いなーっと思って……こう、魔法でびびっと、やっちゃったんです。そし たら、助けた女の人に、えらく感謝されちゃいましてね。ぜひお礼がしたいと言われ……でも、現金をもらうのも、なんかやらしーじゃないですか。だから代わ りに、そのビデオを頂いたという次第で」
立て板に水、とばかりに玉麗は語り続ける。
……なんだかここまで熱心に語られると、だんだん洗脳されてくる。
玉麗は私の一番の友だちだ。
たまには、そういうすてきなことがあったって、いいんじゃないだろうか。
うん、あっていい!
【ユメ】「わー、ほんとに親切だ! たまにはやるもんだね、玉麗」
【玉麗】「ふふん。そうでしょう、そうでしょう」
鼻高々という感じで、玉麗が胸を反り返させる。
私は小さく拍手をする。
でも、そんな美しい友情の風景に、あっさりシャルロッテが水を差す。
【シャルロッテ】「まあ、確かに美談ですが。だけどそんなすてきな話だったら、すぐに私たちに言ってくださってもよかったのに」
【シャルロッテ】「どうして、こんなに時間が経ってから、言い出したのかしら?」
玉麗があさっての方向を眺めた。
【玉麗】「い、いやあ……その、話したらこのビデオのことも教えなくちゃいけなかったんで……その〜、切り札というか、溺れる者は藁をもつかむというか!」
【ユーリ】「なるほど……もしかしたら、本当に頭がよくなるかもしれないから、ユメちゃんには内緒にしたかったんだね?」
【玉麗】「が、がう……そ、その通りです……えへ」
……まあ、こんな落ちになるんじゃないかとは、薄々感じてはいた。
だって玉麗だもん。とほほ。
シャルロッテとアキトが腰に手を当て、盛大にため息をつく。
【シャルロッテ】「はあ……たまには良いことをしたのかと思って感心していたら。やっぱり、玉麗は玉麗ですわね」
【アキト】「まったくだ。しかも結局お前、信じてんじゃねーか。このインチキビデオ」
【玉麗】「うう、だって! なんだかんだで気になるじゃないですか! 寝ているだけで頭がよくなるなんて、ロマンですよ! 一回くらい試してみたいと思うじゃないですか!」
玉麗が涙で瞳を潤ませて、私に同意を求めてくる。
まあ、これは同意していてもいいだろう。
別に害はない話だ。
【ユメ】「あ、それは確かに。身につけていると恋愛運があがるペンダントとか、お金が勝手に貯まる天然石のアミュレットとか、高いけど、一回試してみたいなあって思うよね!」
【シャルロッテ】「確かに……魔法学を学ぶ者として、あり得ないとは解っていても……! 気になってしまうのは否定できませんわ」
【アキト】「……むう。そうだな、タダなら確かに、使ってみたい」
【玉麗】「そそ、お金を払ったらシャクですけど、効果があったらめっけもの、でしょ。それに、案外このビデオ……馬鹿にしたもんでもなさそうな気配がするんです」
【ユメ】「……どういうこと?」
そうつぶやきつつ、玉麗があのビデオテープをまじまじ眺めた。
真剣な顔だ。
そういえば。普段は忘れているけれど、玉麗は本来、コンロン山の偉い天女様なんだ。
ひょっとすると、ひょっとするかもしれない。
……しないかもしれない。うう。
なんだか、頭がこんがらがってきた。
そこへまたも、シャルロッテのつっこみが炸裂する。
私と違って、賢く、現実的なシャルロッテは、そう簡単にその気になったりしないらしい。
【シャルロッテ】「まさか、本当に効果があるなんて言わないでしょうね」
【玉麗】「そのまさか! です!」
【ユメ】「ええ!?」
でも、玉麗は負けない。再び、トークがさえ渡る。
【玉麗】「追われていた女の人って、すごーく綺麗で、身なりがよかったんです! どこのお貴族様? と思ったくらいに! あんな人が胸にしっかと抱えていた袋、それをつけ狙う悪の組織! そりゃもう価値のあるものに違いありません!」
【ユメ】「ぎょ、玉麗……」
【玉麗】「そしてその袋に入っていたものこそ、このビデオ! 私はぴーんときましたね! やつらが狙っていたのは……これだと!」
さすがに、頭を抱えた。
【アキト】「ああ……」
【ユーリ】「……詐欺って、絶対引っかからないと思っている人ほど、引っかかるんだよね……」
至極もっともな感想を、ユーリが漏らした。
アキトも私もシャルロッテも、もうつきあえないと、小さくため息をつく。
そんな私たちの気持ちを敏感に悟り、玉麗は先手を打ってくる。
当然、ターゲットはどんくさい私だ。
【玉麗】「と、いうことで、ユメさん!」
【ユメ】「は、はい!」
【玉麗】「使ってみましょう」
【ユメ】「え……」
【玉麗】「本当は自分で試してみたかったのですが……大事な親友のユメさんの危機ですもの! 涙を呑んでお譲りします!」
【ユメ】「え、ええー!」
とんでもないことを言い出した。
【ユーリ】「わあ、それって人体実験って言わないかな」
【シャルロッテ】「でも、面白そうですわ」
【アキト】「言えてる」
しかも、アキトとシャルロッテまで、同意しだした。
まずい。
みんな、面白がり始めている。
【ユメ】「え、え、でも! せっかく玉麗がいいことして手に入れたものだし!」
【玉麗】「いいんですよう! 私はユメさんが退学にならないように、私は少しでも手助けがしたいだけなんですから!」
【ユメ】「う、うう……みんなもー、私で遊びすぎ!」
【ユーリ】「あれ、今更気づいたの」
【ユメ】「はう。……ユーリの意地悪! さっきは私の味方みたいな顔してたのに!」
【ユーリ】「あはは、もちろん勉強会はするよ。でも、やっぱりユメちゃんは、僕と二人きりは困るみたいだし? 逃げ道を用意してあげたつもりなんだけどな」
【ユメ】「う」
そう言われてしまっては、もうなにも言い返せない。
【玉麗】「ユメさん! さあさあ、今すぐ寮に戻って、このビデオを見ましょう!」
【シャルロッテ】「眠れなかったら、私がとっておきのお香をお部屋に焚いてあげますわっ! さあっ! 行きますわよ!」
今度は、玉麗とシャルロッテに首根っこをひっつかまれ、ずるずると引きずられていく。
【ユメ】「わーん! ……もういいよー、一人でがんばらせてくださいいいい」
【シャルロッテ・玉麗】「却下!」